本当の相続放棄

本当の相続放棄

「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」(民法第915条第1項本文)

相続放棄とは、相続の開始によって相続人に生じた相続の効果を拒絶し、初めから相続人でなかったのと同様の効果を生じさせる手続きのことをいいます。例えば親が預貯金や不動産等の資産よりも借金等の負債を多く残して亡くなった場合、相続放棄の手続きをすれば子は親の借金を引き継ぐことはありません。相続放棄は、その旨を家庭裁判所に申述する必要があります。(民法第938条)

裁判所の司法統計によると、相続放棄の申述受理件数は、平成14年は14万件、平成26年には18万件、平成28年には21万件を超え年々増加しています。相続放棄をする人が増加した背景として日本の長年の経済不況により負債を抱えて亡くなる人が増加したこと、親の老朽化した実家を相続したくないと考える子が増加したこと等、様々な要因があると思います。

依頼者の中には「将来、親が亡くなったときは、兄に財産がいくように相続放棄の約束をした。」「親が亡くなったので兄弟で遺産分割協議をして私は相続放棄の印鑑を押した。」等といった「本当の相続放棄」ではない行為について「自分は相続放棄をした。」と誤解されている方が多くおられます。最初の事例はただの口約束に過ぎず法的効果は生じないこと、2番目の事例は恐らく、亡くなった親の資産を依頼者が引き継がない内容の遺産分割協議に合意したことを意味し「本当の相続放棄」とは異なります。

2番目の事例については「親の財産を引き継がないという意味では本当の相続放棄と一緒なのでは?」とお考えの方もおられるかと思います。しかし相続人同士で行う遺産分割協議の効力はあくまで預貯金、不動産等のプラスの資産の分配については効力が生じますが親の借金等の負債について遺産分割協議の中で依頼者が引き継がない旨の合意を他の相続人としたとしても、その合意に異議をとなえた債権者には対抗することが出来ません。具体的な状況にもよりますが、この場合は家庭裁判所に申述する「本当の相続放棄」を行う必要があるかもしれません。

相続放棄について詳しく知りたい方、お悩みの方はお近くの司法書士にご相談ください。

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