成年後見制度の転換期
成年後見制度が大きく変わろうとしています。
高齢化が進む日本において、今後ますます成年後見制度の重要性が高まるものと思われます。しかし、この制度の利用が思うほど広まっていないという現状があります。
「成年後見人の包括的な代理権によって本人の自己決定権が必要以上に制限される恐れがある」
「制度を開始すると、判断能力が回復しない限りやめることができない終身制である」
「成年後見人の交代が実現せず、本人のニーズに応じた保護を受けることができない」
こういった課題をふまえ、制度の見直しに向けた検討が現在進行しています。
法制審議会では、6月に「成年後見等関係の改正に関する中間試案」が取りまとめられました。
法務省民事局のホームページから、その中間試案の資料が確認できます。
・「成年後見」「保佐」「補助」といった判断能力に応じた3つの類型の選択制から、個々の状況に応じて必要になる権限を付与するなど、柔軟な方向への見直しをする案
・本人の保護の必要性がなくなれば終了するなど、途中で後見を終了できる案
・本人の利益のために特に必要がある場合には、成年後見人を交替できるようにする案
以上は試案の一部の抜粋にすぎませんが、成年後見制度は、本人や本人を支援する人たちが利用しやすく、そしてよりニーズに合った支援の制度へと転換を考えているようです。
今後さらに議論を経て、来年の法改正を目指すとされています。
まだ内容は確定していないわけですが、今後も制度見直しに向けた動向に注目していきます。